【 LECTURE SUMMARY 】
講演会要旨

2018/02/16

2017年12月18日開催

講演会要旨　食洗協年末講演会「子供を叱れない大人たちへ」で好評を博す

2017年12月18日、一般社団法人　落語協会　落語家　桂　才賀　師匠をお招きし、
「子供を叱れない大人たちへ」という演題で年末講演会が開催されました。

2017年12月18日、一般社団法人　落語協会　落語家　桂　才賀　師匠をお招きし、「子供を叱れない大人たちへ」という演題で年末講演会が開催されました。

演題

「子供を叱れない大人たちへ」

講演内容

[講演内容]
　【１】社会貢献活動
　【２】怒るのか、叱るのか
　【３】償い

• 【１】社会貢献活動

  　　　桂才賀師匠は今日まで34年間の長きにわたり、全国各地のほぼすべての少年院、
  　　　刑務所、拘置所を訪問されて社会貢献活動を精力的に続けられています。
  　　　訪問回数は実に1000回を軽く超えるそうです。本職の落語家として高座に上がられる
  　　　合間を縫って、かつそのすべてがボランティア活動とのことですからどれだけ多くの
  　　　時間とお金を投入されたかと推察すると、まさに「驚き」の一言で、二の句が継げません。
  　　　この間、法務省の久里浜少年院長から「少年院篤志面接委員」（1988年）、
  　　　茨城農芸学院の「少年院篤志面接委員」（1993年）、法務省の「矯正支援官」（2015年）の
  　　　各委嘱を受けられ、また防衛省自衛隊統幕学校常任講師、警視庁犯罪被害者支援室講師を
  　　　兼務され、さらにユニークなボランティア慰問部隊である統幕芸激隊の隊長も
  　　　なさっておられます。このような多くの肩書から分かりますように才賀師匠は犯罪加害者、
  　　　犯罪被害者の双方に目を向けられて支援を行っておられます。加えて各地の教育施設、
  　　　企業、ボランティア団体、等々の様々な場所で社会や家庭が抱える問題に関して
  　　　数多く講演されています。
  　　　これらのご活動については著書＊も執筆されています。
  

  桂才賀師匠は今日まで34年間の長きにわたり、全国各地のほぼすべての少年院、刑務所、拘置所を訪問されて社会貢献活動を精力的に続けられています。訪問回数は実に1000回を軽く超えるそうです。本職の落語家として高座に上がられる合間を縫って、かつそのすべてがボランティア活動とのことですからどれだけ多くの時間とお金を投入されたかと推察すると、まさに「驚き」の一言で、二の句が継げません。この間、法務省の久里浜少年院長から「少年院篤志面接委員」（1988年）、茨城農芸学院の「少年院篤志面接委員」（1993年）、法務省の「矯正支援官」（2015年）の各委嘱を受けられ、また防衛省自衛隊統幕学校常任講師、警視庁犯罪被害者支援室講師を兼務され、さらにユニークなボランティア慰問部隊である統幕芸激隊の隊長もなさっておられます。このような多くの肩書から分かりますように才賀師匠は犯罪加害者、犯罪被害者の双方に目を向けられて支援を行っておられます。加えて各地の教育施設、企業、ボランティア団体、等々の様々な場所で社会や家庭が抱える問題に関して数多く講演されています。
  これらのご活動については著書＊も執筆されています。
  

• 【２】怒るのか、叱るのか

  　　　少年院での子供たちへのカウンセリングを通してお感じになったことは子供自身が
  　　　罪を犯す背景には「親」、「先生」、「社会」の影響が非常に大きいそうです。
  　　　子供たちのほぼ共通する言葉は次のようです。
  　　　　・親や先生からは「怒られてばかりで叱られたことはない」。
  　　　　・ここ（少年院）で初めて叱ってもらったことがとってもうれしく、愛情を感じた。
  　　　「怒る」と「叱る」との違いは何でしょうか？
  　　　　「怒る」とは自分の浅墓な経験を押し付けるとともに感情的、攻撃的になり、
  　　　　　　相手(子供、生徒)を責めることにより自分を弁護することです。
  　　　　「叱る」とは愛情をもって冷静に子供の「過ちを正すこと」、子供のために
  　　　　　　「諫めること」です。したがって親、先生の責任を伴います。
  　　　なかでも子供たちにとって毎日接する「親」の影響が大変大きい。親が子供に
  　　　対して無関心、子供を褒めない、夫婦喧嘩が絶えない、このようなことが子供たちの
  　　　ストレスを増幅し、非行に走らせる大きな原因です。一方、親から「叱られた」と
  　　　感じた場合は親に感謝するそうです。
  　　　　「先生」はどうでしょうか？先生の無理解、教育放棄が問題です。知識や経験も
  　　　もちろん大事ですが、それよりも「生徒に対する愛情溢れる心（ハート）」を持つこと
  　　　が重要だと話されました。
  　　　　「社会」はどうでしょうか？過ちを悔いあらためて更生した子供たちに対する偏見を
  　　　捨て、彼らを温かく受け入れる寛容さが大人たち一人一人に必要です。
  　　　「子供は生まれたときから立派な人格を備えた一人の人間である」ことを親はもちろん
  　　　大人は十分認識すべきだと諭されました。
  　　　また、「子供を叱れない大人」を社会人に当てはめると「部下を叱れない上司」と
  　　　いうことになり、聴講者にとって肝に銘じるべき重要なお話でした。
  

  少年院での子供たちへのカウンセリングを通してお感じになったことは子供自身が罪を犯す背景には「親」、「先生」、「社会」の影響が非常に大きいそうです。子供たちのほぼ共通する言葉は次のようです。
  ・親や先生からは「怒られてばかりで叱られたことはない」。
  ・ここ（少年院）で初めて叱ってもらったことがとってもうれしく、愛情を感じた。
  「怒る」と「叱る」との違いは何でしょうか？
  「怒る」とは自分の浅墓な経験を押し付けるとともに感情的、攻撃的になり、相手(子供、生徒)を責めることにより自分を弁護することです。
  「叱る」とは愛情をもって冷静に子供の「過ちを正すこと」、子供のために「諫めること」です。したがって親、先生の責任を伴います。
  なかでも子供たちにとって毎日接する「親」の影響が大変大きい。親が子供に対して無関心、子供を褒めない、夫婦喧嘩が絶えない、このようなことが子供たちのストレスを増幅し、非行に走らせる大きな原因です。一方、親から「叱られた」と感じた場合は親に感謝するそうです。
  「先生」はどうでしょうか？　先生の無理解、教育放棄が問題です。知識や経験ももちろん大事ですが、それよりも「生徒に対する愛情溢れる心（ハート）」を持つことが重要だと話されました。
  「社会」はどうでしょうか？過ちを悔いあらためて更生した子供たちに対する偏見を捨て、彼らを温かく受け入れる寛容さが大人たち一人一人に必要です。
  「子供は生まれたときから立派な人格を備えた一人の人間である」ことを親はもちろん大人は十分認識すべきだと諭されました。
  また、「子供を叱れない大人」を社会人に当てはめると「部下を叱れない上司」ということになり、聴講者にとって肝に銘じるべき重要なお話でした。
  

• 【３】償い

  　　　新潟で実際に起きた交通事故の被害者の奥さんと加害者の青年との話をされ、
  　　　続いてその話をもとにさだまさしさんが作詞作曲された「償い」という曲を目を
  　　　瞑って聴いてほしいと要請されました。
  　　　勤務態度や生活習慣の非常に良い真面目な青年が入院中の母の治療費を工面するため、
  　　　一生懸命に働いていたそうです。
  　　　あるとき、仕事疲れのせいか、ほんの一瞬、居眠り運転をしたために自動車事故を
  　　　起こし、男性を死亡させてしまいました。そのため青年は交通刑務所（千葉県市原市）で
  　　　服役し、通常の刑務所より早い刑期を終えて社会復帰しました。
  　　　刑期が短いのは早く社会復帰して被害者への賠償を進めるためだそうです。彼は
  　　　未亡人となった被害者の奥さんへ給料の1/2を送り続けました。通常は給料の1/3を上限
  　　　として賠償金に、残りは加害者自身の生活費に充てるようになっているそうですが、
  　　　青年は1/2を送りました。しかし、ことごとく黙ってそのまま送り返されてきました。
  　　　これを毎回繰り返すことが実に6年間も続きました。
  　　　7年目にやっと奥さんから手紙が届きました。青年の償う気持ちを理解したこと、
  　　　ただ送られてきた青年の字を見ると亡きご主人のことを思い出してとても辛いこと、
  　　　お金は青年の生活費に充ててほしいといった内容でした。初めて奥さんの気持ちが
  　　　青年に伝えられたのです。
  　　　このことが新聞の投稿欄に掲載され、その記事を読まれたさだまさしさんが
  　　　とても感動され被害者、加害者双方の承諾を得て、事実を再現する楽曲を創られました。
  　　　事故を起こす意図はなかったとはいえ起きてしまった以上、亡くなった方への償い、
  　　　残されたご家族の悲しみはお金では決してまかなうことが出来ません。しかしこの
  　　　「償い」という曲を聴いて双方の気持ちの尊さをつくづく考える時間となりました。
  

  新潟で実際に起きた交通事故の被害者の奥さんと加害者の青年との話をされ、続いてその話をもとにさだまさしさんが作詞作曲された「償い」という曲を目を瞑って聴いてほしいと要請されました。
  勤務態度や生活習慣の非常に良い真面目な青年が入院中の母の治療費を工面するため、一生懸命に働いていたそうです。
  あるとき、仕事疲れのせいか、ほんの一瞬、居眠り運転をしたために自動車事故を起こし、男性を死亡させてしまいました。そのため青年は交通刑務所（千葉県市原市）で服役し、通常の刑務所より早い刑期を終えて社会復帰しました。
  刑期が短いのは早く社会復帰して被害者への賠償を進めるためだそうです。彼は未亡人となった被害者の奥さんへ給料の1/2を送り続けました。通常は給料の1/3を上限として賠償金に、残りは加害者自身の生活費に充てるようになっているそうですが、青年は1/2を送りました。しかし、ことごとく黙ってそのまま送り返されてきました。これを毎回繰り返すことが実に6年間も続きました。
  7年目にやっと奥さんから手紙が届きました。青年の償う気持ちを理解したこと、ただ送られてきた青年の字を見ると亡きご主人のことを思い出してとても辛いこと、お金は青年の生活費に充ててほしいといった内容でした。初めて奥さんの気持ちが青年に伝えられたのです。
  このことが新聞の投稿欄に掲載され、その記事を読まれたさだまさしさんがとても感動され被害者、加害者双方の承諾を得て、事実を再現する楽曲を創られました。事故を起こす意図はなかったとはいえ起きてしまった以上、亡くなった方への償い、残されたご家族の悲しみはお金では決してまかなうことが出来ません。しかしこの「償い」という曲を聴いて双方の気持ちの尊さをつくづく考える時間となりました。