アルコール製剤(食品添加物)は、エタノールを主剤とした食品添加物製剤で、食品の制菌・日持ち向上や食品加工機械や調理器具の除菌目的で多くの食品取扱い現場で使用されています。
食品については、食材への練り込み、漬け込みや噴霧する方法で使用されます。
また、食品加工機械や調理器具については、これらに使用されている金属に対して腐食性が少ないことから、直接、表面に噴霧したり、或いはアルコール製剤(食品添加物)を含浸させた不織布等で拭きあげる方法で使用されます。機械など分解が困難な場合でも噴霧して使用できることから広く使用されています。
食品加工機械や調理器具に使用する場合は、あらかじめ界面活性剤やアルカリ剤などを主剤とした洗浄剤で十分汚れを取り除いてから使用することが大切です。そうすることにより、アルコール製剤(食品添加物)の除菌効果を有効に働かすことができます。
また、この製剤は、エタノール以外の成分(副剤)も食品素材や食品添加物なので、安全性は高いといえます。
アルコール製剤(食品添加物)は、食品衛生法で定められている食品添加物製剤です。この製剤を食品に添加使用する場合は、「アルコール」「エタノール」「エチルアルコール」または「酒精」と表示することになっています。(加工助剤として使用する場合には、表示は不要です。また、エタノール以外の成分(副剤)の種類や量によっては、この成分の表示が必要な場合があります。)
サニテーション管理には、洗浄剤による洗浄・清潔と共に食中毒の原因となる細菌の除去が重要な課題です。アルコール製剤(食品添加物)の特筆すべき利点は、次の3点にあるといえます。
[ 安全性 ]:この製剤は食品添加物であり、エタノール以外の成分(副材)も食品素材や食品添加物なので、安全性は高いといえます。
[ 簡便性 ]:トリガータイプのスプレーを使えば、広い面積に均一に噴射することが可能です。
[ 除菌力 ]:エタノールを主剤としており、副材との組み合わせで高い除菌力を発揮します。
代表的なものとして、表に示す様な添加物があげられます。
例えば、有機酸などをアルコールに添加することによってpHを低下させ、除菌効果を高めるとともに、細菌芽胞の耐熱性を低下させることができます。更に、食品の制菌や日持ち向上目的で使用する場合、アルコール単独で使用する時より使用量が減少することから、アルコール臭による風味の変化を抑えることができます。その他、pH調整以外にも表にあるグリシンや食品用乳化剤などをアルコールと併用することによっても、アルコールの効力は増強され、さらに有機酸も組み合わせることにより、より大きな効果を示すことができます。
【表:アルコール製剤のpH調整および機能の安定化に使用される代表的添加物】