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【 TECHNICAL INFORMATION 】

野菜・果物の除菌洗浄方法について

野菜および果物の衛生的処理の基準

「大量調理施設衛生管理マニュアル」*より抜粋
(*衛食第85号の最終改正:平成28年10月6日付け生食発1006第1号)

野菜および果物を加熱せずに供する場合には、参考資料に従い、流水(食品製造用水注1として用いるもの。以下同じ。)で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌注2した後、流水で十分すすぎ洗いを行うこと。

注1:従前の「飲用適の水」に同じ。(「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)の改正により用語のみ読み替えたもの。定義については同告示の「第1 食品 B 食品一般の製造、加工及び調理基準」を参照のこと。)

注2:次亜塩素酸ナトリウム溶液又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、亜塩素酸ナトリウム溶液(生食用野菜に限る。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水ならびに食品添加物として使用できる有機酸溶液。これらを使用する場合、食品衛生法で規定する「食品、添加物等の規格基準」を遵守すること。

参考資料:「大量調理施設衛生管理マニュアル」*「Ⅱ 重要管理事項の(5)」
(*衛食第85号の最終改正:平成28年10月6日付け生食発1006第1号)

野菜・果物の主な作業工程
  • 1.

    衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品または使用禁止とする。

  • 2.

    各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密閉して入れ、-20℃以下で2週間以上保存する。(検食用)

  • 3.

    専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10℃前後で保管する(冷凍野菜は-15℃以下)

  • 4.

    流水で3回以上水洗いする。

  • 5.

    中性洗剤で洗う。

  • 6.

    流水で十分すすぎ洗い。

  • 7.

    必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等で除菌した後、流水で十分すすぎ洗いする。

  • 8.

    水切りする。

  • 9.

    専用のまな板、包丁でカットする。

  • 10.

    清潔な容器に入れる。

  • 11.

    清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)、調理まで30分以上を要する場合には、10℃以下で冷蔵保存する。

このマニュアルから野菜・果物について主な作業工程を抜き出すと、次のようになります。

*:3回以上  **:10℃以下

野菜・果物の保存について

できるだけ早く消費することが望ましいのは当然ですが、保存する場合は低温を保持することが基準です。 薬剤による表面の除菌を行っても、農作物内部や凹凸に潜む細菌を完全に除去することはできません。カット野菜の場合、常に104/g以下を維持することは困難とも言われています(1)。特に、水耕栽培される農作物は種子の段階から汚染を受けており、農作物内部にも菌が分布していることが知られています(2)。低温の場合、比較的ゆっくりと増殖が進むため腐敗の速度を抑えることができます。また、温度帯によって優位に増殖する菌が異なることも安全性に大きく影響します。5℃前後の低い温度帯では、食中毒の危険性の低い種類の細菌が多くを占めますが、温度が高くなるに従い、食中毒の原因となる種類の細菌の割合が高くなってきます(3)。これらのことから、農作物の保存は低温で行うことが望まれますが、細菌が増殖しないわけではありません(4,1)。長時間保存すると菌数は多くなっていきます。特に、除菌処理した農作物の組織は微生物同様、ダメージを受けているため、腐敗の速度が早まることもあります(5)。

【 引用文献 】
  • (1) 「カット野菜の衛生学的調査」豊島重美、鈴木秀和、藤田満、永末修、舟山芳樹、土谷啓文、佐藤佳介食品衛生研究 Vol.39 , No.10 , 63-68(1989)
  • (2) 「市販水耕栽培野菜の微生物分布について」星野浩子、高村一知、林秀志、浦上逸男聖徳栄養短期大学紀要 Vol.19 , 17-22(1988)
  • (3) 「各種食品のMicrofloraとその変動--葉菜類について--」森奥登志江、私学研修 No.130 , 36-49(1993)
  • (4) 「Effect of Chlorine treatment on Cut Watercress and Onion」(カット野菜のクレソンとタマネギへの塩素処理の影響)Woo Po Park J. Food Quality , Vol.18 , No.5 , 415-424(1995)
  • (5) 「次亜塩素酸ナトリウムによるカットキャベツの殺菌と日持ちへの影響」橋本俊郎、茨城県工業技術センター研究報告、第24号、44-46