【 LECTURE SUMMARY 】
講演会要旨

2025/05/30

2025年5月9日開催

「食品工場における食品安全マネジメントシステムの重要性
と認証が企業に与える影響」で好評を博す

2025年5月9日、株式会社パーシビアコンサルティング　衛生コンサル事業部　統括本部長 　尾崎圭子氏をお招きし、
「食品工場における食品安全マネジメントシステムの重要性と認証が企業に与える影響」という演題で講演会が開催されました。

2025年5月9日、株式会社パーシビアコンサルティング　衛生コンサル事業部　統括本部長 　尾崎圭子氏をお招きし、
「食品工場における食品安全マネジメントシステムの重要性と認証が企業に与える影響」という演題で講演会が開催されました。

演題

「食品工場における食品安全マネジメントシステムの重要性と
認証が企業に与える影響」

講演内容

【Ⅰ】食品安全マネジメントシステムを取得する理由
　　　[１]世界で最も取得数が多いのは『ISO22000』
　　　[２]ISO9001とISO22000の違い
　　　[３]ISO22000の重要な要求事項
　　　[４]食品工場がISO22000を取得する理由
【Ⅱ】HACCPと前提条件プログラム
　　　[１] ISO/TS22002の重要性
　　　[２]HACCP概要
　　　[３]記録の重要性　　
【Ⅲ】認証取得の課題と取得後の課題
　　　[１]コンサルタント主導型による構築の問題点
　　　[２]認証取得後の企業が抱えている問題
【Ⅳ】GFSI認証スキームとは
　　　[１] GFSI認証スキームとは
　　　[２]FSSC22000の概要とJFS規格

• 【Ⅰ】食品安全マネジメントシステムを取得する理由

  世界で最も取得数が多いのは『ISO22000』食品安全『世界で最も認証数が多い食品安全マネジメントシステム（FSMS）は、ISO22000です。』
  ISO 22000は、フードチェーン全体を対象とした国際的な食品安全マネジメント規格であり、ISO 9001（品質マネジメントシステム） にHACCP原則の要素を組み合わせています。この規格は、171か国以上で広く採用されており、食品業界で最も認証件数が多い食品安全マネジメント規格とされています。
  2005年にISO22000が発行されて以降、食品業界では、品質管理に重点を置くISO9001（1987年発行）から、食品安全に特化したISO22000への移行が進んでいます。
  
  『ISO9001　品質マネジメントシステム』の基準は顧客要求、最終目標は顧客要求を満たし顧客満足度を向上させること。顧客要求事項を確実に満たすため、製品やサービスに顧客から何が求められているかを明確にして、設計・運用・管理し、そして最終製品が顧客要求事項を常に満たしているかを評価します。継続的に製造及びサービス提供のプロセスを改善する仕組みを運用することで、品質トラブルを防ぎ、より良い商品やサービスの提供を継続することが出来ます。
  『ISO22000　食品安全マネジメントシステム』の基準は危害要因、最終目標は危害要因をコントロールし食品事故を起こさないこと。
  
  
  食品の安全性を確保し、消費者の健康被害や食品事故のリスクを軽減するために、HACCP（危害要因分析と必須管理点）を基盤とした予防的なアプローチを導入します。原材料の調達から消費者に届くまでのすべての段階において、食品の安全が適切に管理されているかを評価し、リスクを体系的に管理する仕組みを提供することで、より安全な商品やサービスを安定的に提供し続けることが可能となります。
  その為、ISO22000では、食品安全は仕入れる材料の安全性や企業の信頼度も重要になるため『外部から提供されたプロセス、製品又はサービスの提供者を評価し選択、パフォーマンスをモニタリングし再評価を行う基準を確立し、適用する』ことを要求しています。多数の仕入れ先がある企業にとっては評価（監査）に掛かる経費は大変な負担となります。そこで、自社（第二者監査）では無くISO認証機関等による監査（第三者監査）により安全面が評価され、認証を取得している企業と取引することで監査コストを減らしている企業が増えています。
  
  
  逆に、多数の販売先がある企業にとっては、企業毎の要求に対応した書類や記録類を作成する為、書類が多くなり現場での負担も増えます。また、企業毎の監査に対応経費は大変な負担となります。ISO認証機関等による監査（第三者監査）により認証を取得することで、顧客監査（第二者監査）を簡素化し、コストや負担を軽減している企業が増えています。
  
  

  『食品工場が食品安全マネジメントシステム認証を取得する理由』

  

• 【Ⅱ】HACCPと前提条件プログラム

  
  カテゴリ（分野）により、6種類の技術仕様書があり、ISO22000で与えられる要求事項を、より具体的に詳細に示し要求しています。マネジメント規格であるISO22000に、全ての要求事項を含むことは難しく、技術仕様書としてISO22000と共に使用される事を目的として開発されました。
  
  

• 【Ⅲ】認証取得の課題と取得後の課題

  コンサルタントへ依頼するメリット

  
  

  コンサル依存のシステム構築により起こり易い問題点

  コンサル依存のシステム構築は、以下の課題を生む可能性があります。
  ・コンサル主体の構築により要求事項を理解出来ないままの運用開始
  ・構築を急ぎ、マネジメント規格を本質を理解しないままの運用開始
  ・コンサル任せの文書作成により、実務とズレたマニュアルで現場が混乱。
  ・無駄な記録で作業者の負担増。
  その結果、管理部門は以下の課題に直面する可能性があります。
  ・必要な評価・改善が行われず、規格不適合が多発
  ・不具合により作業ミスが増え、作業効率が悪化。
  ・現場の負担が増え、記録ミス・漏れが多発。
  ・構築に問題があっても自分たちで直せない。
  要するに、コンサルに頼りすぎると、使いにくいシステムになり、管理部門が困るということです。
  
  

  認証取得により起こりやすい問題点

  認証を取得することで、書類や記録が増加します。更に外国人雇用により以下の課題に直面する可能性があります。
  ・文書更新・記録確認の作業量が増加
  ・多言語対応の必要性の拡大
  ・掲示物・手順書・記録類の翻訳作業の発生
  ・教育資料・方法の多様化・工夫が必要
  その結果、管理部門は以下の課題に直面する可能性があります。
  ・管理部門の業務量がひっ迫
  ・情報伝達ミスや理解不足のリスク増加
  ・運用コストと時間の増大
  
  

  食品安全マネジメントシステムの構築において、重要なのは、始めにしっかりと組織体制を作ることです。

  第一に求められるのは、経営トップが食品安全に対して真剣に取り組む姿勢を示すことです。経営者がその意思を明確にし、方針を打ち出すとともに、必要な人材や設備、教育といった資源を適切に投入しなければなりません。また、各担当部門に対して責任と権限を与えることによって、組織全体が一体となって食品安全に向き合う体制を築くことが可能となります。
  
  次に重要なのが、管理体制そのもののあり方です。現場ではしばしば品質管理部門がそのまま食品安全の管理部門を兼ねるケースが見られますが、このような運用では業務が偏り、管理部門が過度な負担を強いられることになりがちです。そうならないためには、各部門から人材を集めて管理チームを編成し、それぞれの得意分野に応じて役割を分担することが効果的です。こうした体制によって、内部監査や是正処置などの業務も一部門に依存することなく、組織全体の協力を得ながら効率的に進めることができるようになります。
  
  そして、実際に現場でシステムを運用していくのは食品安全チームです。このチームは、危害要因の分析や管理基準の作成、さらには日常の点検や教育の実施など、食品安全の実践的な活動を担う中核的な存在です。彼らの活動が現場に根付き、持続的に機能することで、システム全体の信頼性と有効性が高まっていきます。
  
  このように、最初の段階で十分に時間をかけて体制を整備することが、その後のシステム構築や円滑な運用を実現するための土台となります。

• 【Ⅳ】GFSI認証スキームとは

  GFSI（Global Food Safety Initiative）は、世界中では約400もの食品安全に関する認証規格が乱立し、食品事業者、特に製造現場では度重なる監査で時間・コストの負担も増え、疲弊していました。
  原材料の調達や食品の流通がグローバル化する中、世界の経営者たちは安全な食品を消費者に確実に提供するため、これらの問題を連携して解決することに合意し、2000年5月にGFSI（Global Food Safety Initiative）が設立されました。
  GFSI認証スキームは、食品安全に関する高度な要求事項を定め、その要求事項を基準とし、スキームと比較し、同等性があるかを確認・評価し、認証します。
  
  

  FSSC22000はGFSI認証スキームの1つです。

  ISO22000（食品安全マネジメントシステム）要求事項に、ISO/TS22002の要求事項を加え、更に、食品防御や食品偽装など、悪意や利益の為に意図的に行われる行為や予期せぬ事故に対応する為の追加要求事項を加えた、高度な食品製造環境を求める規格です。
  
  
  

  他のGFSI承認規格